社会生活で人や組織はいつ逆境や困難にさらされるかわかりません。
2020年からはじまったコロナ禍の影響を受けた人や会社組織は数多く、上手に立ち回れた企業、影響が直撃し立ち直れないほどのダメージを受けてしまった企業とふたパターンに別れてしまいました。
実は企業がコロナ禍を上手に立ち回れたかどうかのカギは「レジリエンス」にあるといわれています。
レジリエンスを高めておくことで、人や組織は問題や困難に直面したとき柔軟に対処でき、結果として受けるダメージを最小限にとどめられるのです。
コロナ禍により、不測の事態はいつ起きるかわからないと再確認された今、「レジリエンス」が企業から注目されています。
今回は、レジリエンスについて説明し、社内でのレジリエンスの重要性や、高める方法について解説します。
社員個人はもちろん、会社組織としてのレジリエンスを高めることで、全社員の心理的安全が確保され、安心して会社でパフォーマンスを発揮できるでしょう。
レジリエンスとは|逆境や困難から回復する力
レジリエンス(resilience)とは、自分にとって不利な状況やストレスがかかる環境下において
- 弾力
- 跳ね返り
- 回復力
- 復元力
といった、自発的な回復力を意味します。
どんな困難にぶつかっても、しなやかに回復し、乗り越える力こそがレジリエンスです。
ゴムボールでイメージするとわかりやすいですよね。
圧力がかかると一度潰れたように見えますが、跳ね返りによって元の形状に戻ります。 人や組織であらわすと「打たれ強さ」となります。
個人レベルでは、たとえば仕事で失敗してしまい気持ちが落込んでしまったときに、いかに早くその落込状態から回復してその後の仕事に負の影響を与えないか、という力を指します。
組織レベルで例を出すなら、2020年コロナ禍に陥ったとき、会社が受けるダメージを最小限にとどめ、コロナ禍に応じたテレワークなどのビジネス戦略で例年のパフォーマンス同様まで売上が回復できたかという力になるでしょう。
会社内でのレジリエンスの重要性
会社内でレジリエンスを考えるとき、ふたつの方向からのアプローチが必要です。
- 社員個人のレジリエンス
- 会社の組織レジリエンス
それぞれについて解説します
社員個人のレジリエンス|離職防止やパフォーマンス向上
レジリエンスは、社員研修に組み込んでおくことをおすすめします。
とくに新人や若手にとっては、はじめての経験や失敗など、仕事に慣れるまでに大きな壁にぶつかってしまう可能性が高いので、早いうちに研修を設定しておくとよいでしょう。
また、社員個人のレジリエンスを高めておくと以下のような効果が期待できます。
- 新人や若手のメンタルヘルスによる早期離職の防止
- 仕事におけるパフォーマンスの向上
日々の緊張感やストレスによって、メンタルヘルスを発症してしまい、入社後すぐ離職してしまうダメージを防げます。
また失敗にめげず果敢に挑戦できるメンタルを育てておくことで、結果として仕事のパフォーマンス向上につながります。
会社の組織レジリエンス|社会変化に対応できる柔軟なビジネス戦略
個人レベルのレジリエンスも重要ですが、組織そのもののレジリエンスも同様に重要です。
会社組織でレジリエンスが高まっていないと、リーマンショックやコロナ禍のような社会変化に柔軟な対応ができず、売上が落込んだまま組織崩壊となりかねません。
「このままこの会社につとめて大丈夫なのだろうか?」と、社員の心理状態へも負の影響を与えてしまいます。
マネジメント側は、社員個人 と 会社組織 のレジリエンスの両方を気にしておく必要があります。
社内でレジリエンスを高めるマネジメント|事例紹介
マネジメント側がレジリエンスを考えるときに必要な視点は、ある一定の環境下でしかパフォーマンスが発揮できないビジネス戦略ではなく、幅広い状況に対応できるビジネス戦略を考えることです。
新たな感染症が広がったり、政府が新しい制度を導入したり、今後も先の見えない何が起こるかわからない状況は続いていきます。
たとえば、今回のコロナ禍において売上を下げなかった飲食業界の企業は、うまくテイクアウトやドライブスルー、お取り寄せを活用できました。
しかしこれは、マネジメント側がコロナ禍以前に さまざまな施策 を行っていたことが、結果的にコロナ禍の状況への柔軟な対応へとつながっています。
さまざまな施策とは
- コロナ禍以前からのテイクアウトオプション
- モバイルオーダー
- お取り寄せ商品の開発
- ドライブスルーの設備
- ドライブスルーやテイクアウトに対応できる人材育成
など、「店内テーブル」という一定の環境下以外でも、幅広いビジネス戦略を持てていると、コロナのような強烈な社会変化にも対応できます。
重要なのは、コストを極限まで削って利益を最大限に高める戦略だけでなく、どんな状況にも対応できるビジネスの幅をもっておく ということになるでしょう。
そのためには、資金・設備はもちろん、人材教育 や 人材確保の面でも、あらゆる事態を想定した施策の検討からはじめていきましょう。
まとめ
今回は 個人や組織が落込んだ状態から回復する力である「レジリエンス」について解説しました。
企業のトップは、社員個人と会社組織そのもののレジリエンスを、日々高めるように戦略を打つことが重要です。
レジリエンスを考えたビジネス戦略は、さまざまな施策に手をだすことで一見非効率に思えますが、長期的な視点やリスク分散の視点では、とくに先の見えない現代にこそ重要な考え方です。